医療法人社団 創輝会
ADMはちゃんと治せるのでしょうか?
もっと早く治療すればよかった ADMの治療が完了したとき、たいていの患者様が抱かれる感想です。
それくらい、ADMの治療満足度は、他の色素性疾患に比べてもとても高いといえます。
なぜなら、治療の確実性が極めて高く、通常は再発もないからです。
つまり、一度取れたら取れたっきり、もう一生ADMに悩まされる可能性はゼロに近いのです。
ADMは他のシミや肝斑と違って、また悪くなってくることがほぼありません。
もちろんADMは治ったけれどもシミが出てくるということはありますが。
ADMに最適な治療法は、QスイッチレーザーもしくはPICO秒レーザーです。
フォトなどの光治療(IPL)や他のマイルドなレーザー治療(レーザートーニングなど)は、ADMそのものには通常無効です。 QスイッチレーザーやピコレーザーのSPOT照射と呼ばれる高出力なモードでの照射が必要になります。 マイルドなダウンタイムのほぼない治療では、皮膚の深い部分(真皮)に存在するメラニンを確実に破壊できるパワーはないからです。 高出力なレーザー照射によりADMはほぼ確実に直していくことが可能です。 ただ、ADMの場合、Qスイッチレーザーを用いても1回の治療のみでは除去しきれないことが多く、複数回の治療を必要とすることが多いです。 一人一人のADMの状態(色素の量や深さ)に合わせて最適な波長と強さで照射を行うことで、ダウンタイムを最小限に抑えて効果を最大限に高めることも可能です。
QスイッチレーザーはADMにとても良く効きますが、ただ照射さえすれば、きれいに消えるというものではありません。 そこには、ADMならではの治療の難しさがあるのです。 最適な照射パワー調整が老人性しみなどの治療より難しい ・密集したADMを最小限のダメージでいかに正確に照射することの難しさ ・治療後起こる炎症後色素沈着(戻りシミ)の管理と治療間隔 ・肝斑の合併においての肝斑の管理など考えなければいけないポイントがたくさんあります。 これら考慮せずに治療した場合、瘢痕化(きずあとが残る)・色ムラ(白抜け、白斑化)・巨大な炎症後色素沈着などの合併症を引き起こす可能性があります。 医療行為なので合併症・副作用はもちろんありますが、ADMは見た目の改善を目的とした治療なので、きれいに消えなければADM治療の意味がなくなってしまいます。
どの合併症も、ADM自体が問題ではなく、照射方法・照射出力・治療間隔などへの配慮が足りないことが原因で起こってくることが多いと考えています。 副作用を抑えつつ、ADMをきれいに消す方法を追求することが非常に大事であると考えます。
ADMに有効なQスイッチレーザーは、一般的に肝斑に対しては通常禁忌とされています。 Qスイッチレーザーの強力な刺激が肝斑を増悪させてしまうリスクがあるからです。 したがって、肝斑を合併するADMの治療は、一般的にとても難しいとされています。 確かに、肝斑が合併していない場合の治療と比べると、炎症後色素沈着(戻りシミ)や白斑化(白抜け)のリスクが高くなりますので、より注意深く正確なレーザー照射技術や慎重な治療前後の管理が必要になりますが、不可能ではありませんので、あきらめる必要はないと考えます。 最も大切なのは肝斑を抑え込むためのトラネキサム酸の内服をしっかり併用する事です。 レーザー照射に先立って内服薬を開始します。 これをプレトリートメントと言います。 最低1か月、できれば2か月程度は内服を行ったうえでの照射であればリスクをかなり低減させることが可能です。
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