新型コロナウイルス感染症COIVD−19は、我感染者数が落ち着いたかと思えば再度増加するというサイクルを繰り返しており、現在第5波が襲来しています。第5波は特に感染者が多く、多くの都道府県で過去最高の観戦者数を記録しています。感染者数有が増加した原因としては、新たな変異株の出現などによってウイルスの感染力が上がったことも指摘されていますが、長い自粛生活の中で自粛疲れもあり、人流の抑制が十分にできていないことも影響していると思われます。
そこで今回は、COIVD-19とはどのような感染症なのか、感染するとどのような危険があるのかについて解説し、感染対策の重要性について再度確認していきます。
そもそもCOVID-19という言葉は、どのような意味の言葉なのでしょうか。COVID-19のCOはコロナ(corona)、VIはウイルス(virus)、Dは病気(Disease)を意味し、19は2019年を指します。
このCOVID-19の原因ウイルスは、SARS-CoV2というウイルス名がついています。SARSは重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome)を表し、CoVはコロナウイルスを意味します。つまり、SARSを引き起こすコロナウイルスの2種類目という意味の名前です。2021年8月20日現在、世界で2.11億人、死亡者数は442万人となっており、日本の感染者数は128万人、死亡者数は15625人と、世界中で多くの感染者と死者を出しています。
COVID-19に感染すると、どのような症状が起こるのかについて見ていきましょう。初めは風邪のような症状(発熱、咳)が出現します。80%程度の患者さんは、1週間程度風邪のような症状が出て、特に重症化することなく治癒しますが、20%程度の患者さんでは発症7日〜10日頃から息苦しさや肺炎の症状がでて入院が必要です。約5%の患者さんは重症化して人工呼吸器管理が必要で、2~3%の症例では死に至ります。
COVID-19と通常のウイルス感染の違いは、ウイルス名にも入っているSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすということです。SARS-CoV2は、体内に侵入する時に細胞表面に発言しているACE2という酵素領域を持つタンパク質に結合し、細胞侵入します。このACE 2は血圧上昇や、炎症を引き起こすサイトカインという物質の産生に関わるRAA系(レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系)という経路を阻害する役割をもっています。
ウイルスが細胞に侵入するときにACE2が消費されて枯渇すると、このRAA系を阻害することができなく、血圧の上昇や炎症を引き起こすサイトカインの産生に歯止めが効かなくなり、体の中で炎症が起こりやすくなります。他にもサイトカインの働きを増幅する回路が働き、体の中、特にACE2がたくさん発現している肺で強い炎症が起こるのです。つまり、COVID-19という病気はウイルスがすぐに排除できれば、ただの風邪で終わるのですが、ウイルスの排除に手間取るとACE2の枯渇が起こりそれにより免疫の暴走が起きる疾患ということになります。このような理由で、免疫力の低い人は重症の肺炎を引き起こすのです。
以上を簡単にまとめると、COVID−19はウイルスの活動によって風邪のような症状を引き起こすだけでなく、一部の患者さんでは体の免疫機構を暴走させる引き金となり、その免疫機構の暴走によって致命的なレベルの肺炎を引き起こす病気、ということになります。
COVID-19に感染しないためにできることについて、見ていきましょう。
基本は、マスクの着用や消毒の徹底、三密の回避です。特に現在は、感染力の強い変異株であるデルタ株が日本でも蔓延しており、非常に多くの感染者が出ています。密閉、密集、密接のどれか一つでも感染のリスクがあることを再度確認して、なるべくそのような環境に身を置かないように注意をしましょう。
また、ワクチンの接種により重症化は90%以上防ぐことができます。基礎疾患のある方や高齢の方、喫煙している方などの重症化リスクの高い人であってもワクチン接種によりかなりの割合で重症化を防ぐことが可能です。ワクチン接種を迷われている方は、主治医と相談して、摂取可能と判断されたら積極的にワクチンを接種することをお勧めします。
今回はCOVID-19という疾患の疾患概念について解説し、よくある風邪とどのような違いがあるのかについて解説しました。COVID-19は、通常の風邪やインフルエンザとは異なるメカニズムで重症の肺炎を引き起こす危険なウイルスです。感染対策を徹底し、予防接種など必要な行動をとり感染や重症化を防ぎましょう。