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これまでに流行ったコロナウイルスについて解説します

COVID-19が世界中で猛威を奮っています。このCOVID-19というのは病気の名前でウイルス名ではありません。COはコロナ(corona)VIはウイルス(virus)Dは疾患(disease)をそれぞれ表していて、2019年に流行したことから19とついています。つまり、2019年に流行したコロナウイルスに起因する疾患という意味になります。このCOVID-19を引き起こすウイルスはSARS-CoV-2という名前がついています。

今回は、SARS-CoV-2を含むコロナウイルスにはどのような種類のものがあるのかについて解説していきたいと思います。

●そもそもコロナウイルスにはどんな種類がある?

コロナウイルスには様々な動物に感染するものがあり、実は50種類以上見つかっています。そのうちヒトに感染するものは、これまでに6種類見つかっていました。そのうち4種類はもともと世界中に蔓延していて、いわゆる普通の風邪と言われる症状を引き起こすものです。これらのコロナウイルスは感染しても、基本的に重症化することはありません。コロナウイルスが、風邪の原因ウイルスの15%程度を占めると言われています。

これらの古典的なコロナウイルスに加えて、2002年中国で発生したのがSARS -CoVというウイルスです。これは、SARS(重症急性呼吸器症候群)の原因になるコロナウイルス意味です。中国南部に生息するキクガシラコウモリが発生源と言われています。SARSは2003年に収束しています。

その後2012年にMERS–CoVがアラビア半島やその周辺の地域で発生したのが、コロナウイルスです。中東で発生したことからMARS(中等呼吸器症候群)という病名がつき、その原因になるコロナウイルスであることから名前がつけられました。発生源はヒトコブラクダと言われています。

その後2019年に発生したのがSARS -CoV2です。要するに、SARSの原因となるコロナウイルスの2種類目という意味です。2019年に中国の武漢市で初の患者が報告されていますが、発生源はまだわかっていません。

●過去に流行ったSARS MARSについて

前の項目で軽く言及しましたが、以前発生したSARSやMARSはどのような疾患だったのでしょうか。

まずSARSについて。SARSというのは重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)の略です。2002年に中国で報告されました。2003年12月31日時点のデータによれば、報告症例数は2002年11 月〜2003年8月に中国を中心に8,096人です。その中で死亡に至ったのは、774人で高い重症化率と死亡率が社会問題となりました。医療や介護の現場で多く流行し、今で言う「3密」状況で集団発生の可能性が高いことが確認されています。日本では、可能性例16例と疑い例52例の報告がありましたが、全ての症例で他の診断がついた、もしくは専門委員会でSARSであることを否定されました。

次にMARSですが、 中等呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome )の略です
2012年9月にサウジアラビアで初めて患者が報告されて以降、サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦、カタールを含む中東諸国や、フランス、ドイツ、イタリア、英国などの欧州やチュニジアから患者が断続的に報告されているコロナウイルス感染症です。2012年から2020年1月31日までの間にWHOへ報告された、MERS-CoV感染の検査確定症例数の世界合計は2,519人であり、関連する死亡例は866人と非常に高い死亡率が特徴です。現在流行しているCOVID-19と比較して肺炎を起こす確率が極めて高く、重症化率が高いです。数は多くありませんが、現在に至るまで断続的に新規の患者が報告されています。

●COVID−19の変異株について

現在COVID -19の変異株が話題になっています。この変異株とはどのようなものなのかを見ていきましょう。

ウイルスは実は常に変異しながら増えています。その仕組みについて解説します。まずウイルスは動物の体内に入ると細胞の中に入り込み、その中で増殖してある程度増えたら細胞を破壊して外に出てきます。ウイルスの増殖は、ウイルスの遺伝子がコピーされて増えていくのですが、時々コピーミスが生じます。このコピーミスが起こることによって一部のウイルスは新しい性質を手に入れることがあります。この時に、より感染力が高くなったウイルスは従来のウイルスより増えやすいので、どんどん変異したウイルスが増えることになります。そうして増えたウイルスが発見されると、変異株として認識されることになります。

昨年12月にイギリスでは、「N 501Y」変異である新型コロナウイルスが発見されています。この変異のあるウイルスは、従来のものより感染力が強いとされています。また、現在インドで猛威を奮っているインド株には「L452R」と「E484Q」という二つの変異が複合的に発生していて、免疫効果を低下させるという特徴と感染力が高いという特徴を兼ね合わせているということがわかってきています。

現在、東京都でのCOVID-19の8割程度が「N 501Y」変異をもち、インド株も発見されているという状況であり、我が国にとっても決して他人事ではありません。ますますCOVID-19感染に対する重要性は増していると言えるでしょう。

●まとめ

今回はコロナウイルスの種類について解説し、変異株についても見ていきましたCOVD-19の変異は日々起こっています。新たな感染性や特徴を持つウイルスが出現する可能性があり、しっかりと感染対策を行なっていくことがますます重要です。