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コロナ致死率におけるCOVID-19の臨床経過をおさらい。症状や臨床経過は?

2019年に中国の武漢で報告されて以来、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症のCOVID-19。パンデミックが長期化しており、日本でも第5波が襲来しており、まだしばらくは感染対策をしっかり続けていく必要があります。そんなCOVID-19について「正直どんな病気なのかよくわからない」「ずっと自粛していないといけないほど危険なウイルスなのか?」という疑問を持つ方も少なくないかもしれません。今回は、COVID-19がそもそもどんな病気なのか、感染するとどのようなことが起きるのかについて解説していきます。

●そもそもCOVID-19とは?

そもそもCOVID-19とは、どういう病気なのかを見ていきましょう。
まず、COVID-19は疾患の名前でウイルスの名前ではなく、病気の名前です。

COはcorona、VIはvirus、Dはdisease、19は2019の略で、このCOVID-19を引き起こすウイルスの名前はSARS-CoV2と言います。SARSとは重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome)の略で、CoVはコロナウイルスのことです。つまり、重症急性呼吸器症候群を引き起こすコロナウイルスの第2弾という意味になります。ちなみに一つ目のSARS-CoVは、中国南部の広東省を起源として発生したSARSを発生させるウイルスで、2003年に流行したものです。

このCOVID-19は、2019年に中国の武漢で初めの症例が報告されました。コウモリが宿主であると言われていますが、このウイルスの正確な起源についてはいまだによくわかっていません。

2021年8月14日の時点で世界の感染者数は2.06億人、死者数は435万人と、まだまだ感染者数が増え続けることが予想されています。

●COVID -19にかかるとどうなる?

COVID-19にかかると、どのようなことが起きるのでしょうか。COVID-19の臨床経過を見ていきましょう。

SARS -CoV2に感染し、COVID-19を発症すると、初めは風邪のような症状が出ます(発熱、咳など)。8割の患者は風邪の症状が出るだけで、特に重症化することなく、おおよそ1週間以内に回復していきます。しかし、2割程度の患者は回復せず、肺炎に至ります。呼吸困難や運動時の息切れが生じて、入院での治療が必要になります。さらに肺炎が進行すると自分の力で呼吸を維持することが困難になり、酸素投与が必要になったり、人工呼吸器での治療が必要です。最重症になると人工心肺ECMOが必要になり、死に至る場合もあります。

重症化する可能性については個人差があるのですが、特に重症化や死亡のリスクが高いのが高齢者や特定の基礎疾患(呼吸器疾患や糖尿病、免疫力の低下を伴う病気)を持つ人です。これらに該当する人は特に感染症の対策をしっかりとすることが重要になりますし、重症化リスクの高い人に感染させないように、リスク因子のない人の感染対策をしっかりとしていくこともまた非常に重要なのです。

COVID-19の致死率は、どのようになっているのでしょうか。年齢別の致死率(2021年6月23日現在)を見てみると、40代で0.1%、50代で0.3%、60代で0.7%となり、70代になると3%、80代以上になると、その致死率は10.7%となっています。

決して軽く見て良い数字ではありませんので、感染対策は必須です。

●COVID-19の感染対策は?

COVID-19の対策について見ていきましょう。

COVID-19は感染症ですので、最も確実な感染対策は人と接しないことです。ただし、全く他の人と接することなく生活することは現実的ではないので、感染のリスクを少しでも減らして人と関わる必要があります。

まず、外に出る時は必ずマスクを正しく着用しましょう。そのうえで「3密」を避ける必要があります。3密とは密閉、密集、密接のことを指します。大勢で、狭くて換気のない場所に行くのは避けてください。また、変異株が出てきて感染力が強くなってきており、3密の条件が揃わなくても感染する危険性があります。自分のいる環境について、感染リスクが上がる環境でないか考える習慣をつけましょう。

ウイルスのついている場所を触ってから、その手で顔などを触ると目鼻口からウイルスが侵入します。外にいる時は、なるべく顔を触らないようにすることも重要です。顔などを触るときには手指の消毒をしましょう。また、家の中でよく触るものはこまめに消毒をするのも有効です。

●まとめ

今回は、COVID-19という疾患の概要と罹患すると、どのようなことが起こるのかについて改めて解説し、感染対策をおさらいしました。長期間のパンデミックで疲れている人も多いかもしれませんが、基本的な感染対策については変わりませんので、今一度気を引き締めて対策をしていきましょう。

呼吸器内科医 扇谷知宏

呼吸器内科医呼吸器内科医

監修/扇谷知宏

所属/日本内科学会 日本呼吸器学会