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感染防止の基本 マスクの種類について解説します

新型コロナウイルス感染症COVID -19が猛威を奮っており、感染者数は日々増加しており、ますます感染症の予防が重要になっています。その中でも特に重要なのがマスクの着用です。COVID -19の流行が始まってからすっかりおなじみになったマスクですが、その種類や素材の違いで予防効果に違いがあります。

今回はマスクにはどんな種類のものがあるのか、またどんな素材のものが作られていて効果にどのような差があるのか見ていきましょう。

●実はいろいろな種類がある! マスクの種類を見てみましょう

一言にマスクと言っても、その用途によって幾つか種類があります。私たちの生活に馴染み深い「家庭用マスク」、医療従事者が着用する「医療用マスク」、工場などで防塵対策として使う「産業用マスク」などがあります。ここでは家庭用と医療用のマスクについて見ていきます。

もともと家庭用マスクの多くはガーゼタイプのマスクで、医療用のマスクは不織布が主流でした。しかし、花粉症が増加したことから家庭用でも使い捨ての不織布タイプのマスクが主流となっています。

まずガーゼタイプのものについて見ていきます。一時期話題になった「アベノマスク」もこのタイプのマスクです。綿ガーゼを数十枚重ねて作っているものです。平型のものが一般的で、厚みがあるため喉の保湿効果や保温効果に優れ、洗って繰り返しつかえるという利点があります。

不織布マスクは内側の頬に触れる部分と外から見える部分の不織布の間にフィルター不織布が挟まった構造になっています。不織布の目の細かさで飛沫を捕まえるとともに、フィルター不織布に捕集機能を発揮するように加工(電気を帯びさせて静電気の力で捕まえる帯電加工など)をしているものもあります。使い捨てであり、毎回新しいものに変えるという点で衛生的であること、顔の形に合わせて形状を調整できるノーズフィットがあることからより飛沫を通しにくいといった利点があります。

そのほか医療用のマスクの中に「N95」と呼ばれる高性能なマスクがあります。約0.075㎛の粒子径の粒子を95%以上ブロックできる規格のことをN95と呼び空気感染を起こす結核のような病気や、今回流行しているCOVID -19患者の診察をする際に医療従事者が身につけます。このマスクは非常に高性能なのですが、フィルターの目が極めて細かいので長時間つけると非常に息苦しく日常に使用するのには向いていません。

暑い時には不織布の方がよく、寒い冬には保湿保温効果のあるガーゼマスクなども快適ですし、その時その時に自分が快適に過ごせるマスクを使用するのが良いでしょう。

●素材によって効果が違う?マスクの素材についてさらに解説します。

前項で不織布やガーゼのマスクについて言及していますが、現在さらに多くの種類の素材のマスクが販売されています。マスクの素材によって性能に差があるのかを見ていきましょう。

理化学研究所が複数の大学と共同で、スーパーコンピューター「富岳」を使用したシミュレーションを行なっています。

不織布マスク、布マスク、ウレタンマスクの3種類の素材のマスクを装着した人頭モデルにミスト発生装置を接続して、飛沫の拡散状況をレーザー光を用いて可視化して吐き出し飛沫量をカウントしました。吸い込み飛沫の量の測定は、実際に人がマスクを着用して計測します。マスクをしていない時の吸い込み飛沫と、吐き出し飛沫をそれぞれ100%とすると、不織布マスクは吐き出し飛沫量が20%、吸い込み飛沫量は30%に抑えられることが可能です。布マスクの吐き出し飛末量は18-34%と抑えられますが、吸い込み飛沫量は55-65%と不織布マスクに比べてやや多くなります。また、ウレタンマスクは吸い込み飛末量50%、吐き出し飛沫量60-70%と性能が不織布マスクよりも劣るという結果になりました。マスクの性能としては不織布のマスクが最も良いということになります。ただし、ウレタンマスクも全く予防効果がないわけではないです。不織布マスクでは肌が荒れてしまう人や、呼吸器の疾患で息苦しさが強くなる人には通気性の良いウレタンマスクが適しているという場合もありますので、完全に否定できるものではありません。自分に合ったマスクを選んでしっかり着用することが重要です。

●フェイスシールドやマウスシールドの効果は?

テレビをみていると、出演者が口元に透明なプラスチックでできたマスクのようなものをつけているのを目にした方も多いかと思います。これがマウスシールドです。他にも顔全体をおおうフェイスシールドもあります。これらの感染防御性能はどうなっているのでしょうか。

前述の理化学研究所でのシミュレーションではマスク以外にもフェイスシールドとマウスシールドも検証されています。その結果、フェイスシールドは吐き出し飛末量80%で、吸い込み飛沫の小さな飛沫に関しては効果がないとの結果、マウスシールドでは吐き出し飛沫量90%、吸い込み飛沫軽減効果なしという結果になっています。

日常生活の中で、これらを使用しても感染を防御する効果はほぼありません。感染対策にはマスクを使用した方が良いと言えます。フェイスシールドは、マスクを着用した上でCOVID-19患者に近づく必要がある際に大きな飛沫をガードする目的で使用されるものですので、医療従事者は着用する意味があると考えられますが、日常生活ではあまり使用する機会はないと思われます。

●まとめ

マスクの種類や素材の違いについて見ていきました。マスクは形状や素材の違いで性能に差があります。また着用のしやすさにも差があるので自分に合ったマスクを着用して感染の予防に努めましょう。