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COVID-19、赤ちゃんや子どもも感染する? 感染対策についても解説します。

新型コロナウイルス感染症COVID-19は、現在感染の第5波が襲来しています。今回の流行では、変異株であるデルタ株が多く検出されており、このデルタ株は従来のウイルスよりも感染力が強いです。

そこで今回は、赤ちゃんや子どものCOVID -19感染や重症化する可能性、また、感染対策について解説していきます。

●赤ちゃんや子どももCOVID-19に感染する?感染や重症化の可能性は?

まず、赤ちゃんや子どもにもCOVID-19に感染する可能性があるかについて見ていきましょう。結論から言うと、赤ちゃんや子どもでも感染する危険性は十分にあります。現状、重症化する可能性は、大人に比べて低いようです。ただし、日本より先に変異株であるデルタ株が蔓延したインドネシアでは、子どもの重症化の症例も多く報告されています。

子どもが感染してしまった場合、一人で入院させることが難しく、完全に隔離するのができないことから、家庭内で感染してしまう可能性が格段に上がってしまいます。本人へのリスクに加えて周囲へ感染を広げるリスクもあるため、大人と同様に十分な感染対策をしていくことが重要です。

症状についても見ていきましょう。子どものCOVID-19の症状は、大人とそれほど変わりはありません。基本的には発熱と咳が主症状で、重症化すると肺炎などを起こし呼吸不全を伴うことがあります。重い先天性疾患(遺伝病、神経障害、心疾患)や肥満、喘息などの肺疾患、免疫不全を伴う疾患がある場合には重症化のリスクが高まりますので、これらに該当する場合には、より一層の注意が必要です。

●赤ちゃんや子どもの感染対策はどのようにする?

まず、ワクチンについてですが、本記事作成時点(2021年8月)では新型コロナウイルスのワクチンの接種の対象者は摂取日に満12歳以上の人となっており、この年齢に満たない方はワクチン接種ができません。ただし、摂取の対象者は日々積み上げられていく科学的知見に基づいて決められているため、今後、対象年齢が広がる可能性はあります。海外では生後6ヶ月~11歳を対象とした臨床試験も実施されているなど、赤ちゃんや子どものワクチン接種についても研究が進んでいます。ワクチン接種については、常に最新の情報を確認しましょう。

次に、日常生活の中での感染対策について見ていきましょう。赤ちゃんや子どもの対策といっても基本的には、大人と大きく変わりません。まずは、ソーシャルディスタンスを保つことが重要です。感染を避けるためには、外出をしないことも有効です。ただ、保育園や学校などを全て休むというのは現実的ではないため、不要不急の外出に関しては自粛し、3密(密閉・密集・密接)の環境の中に連れて行かないことを心掛けましょう。

石鹸と水による手洗いやアルコール消毒をこまめにすることも重要です。親の話を理解できる年齢の子どもであれば、なるべく手で顔を触らないように教えることも対策につながります。

赤ちゃんや子どもの感染対策について、マスクの着用は何歳ぐらいからするべきかという質問をよくいただきます。多くの国では、2歳以上の子どもに対してのマスクの使用を推奨しています。日本小児科医会や米国疾病予防管理センターの発表を参照すると、2歳未満の子どものマスクの着用は呼吸困難や窒息、熱中症のリスクがあり、顔を隠すことでの体調の変化への気づきの遅れの恐れもあるため推奨されていません。また、2歳以上でも呼吸器の疾患や対応や体温調整に支障をきたすような疾患がある場合には着用を控えたほうが良いこともあります。子どものマスク着用に不安がある場合は、小児科医に相談をしてください。

●赤ちゃんや子どもがCOVID-19にかかっているかもしれない時にどのように行動する?

赤ちゃんや子どもに、咳や発熱などのCOVID-19を疑うような症状が出たときには、かかりつけ医や近くにある小児科医のある医療機関に連絡をしましょう。どのように対応すべきか、また実際に受診をする必要があるかについての助言をもらうことができます。

以下のような症状には、特に注意が必要です。これらの症状があれば、早急に医療機関に連絡して症状について相談してください。

  • ・息苦しそうである
  • ・胸の痛みがある
  • ・唇や顔が青い
  • ・強い腹痛がある
  • ・普段と違う異常な行動
  • ・意識レベルの低下
  • ・水分が取れない

医療機関に相談し、必要な場合にはPCR検査を受けることもあります。もしも陽性であれば保健所と連絡を取り、在宅での療養を行うか、感染者が入るホテルでの療養をするか、入院するかなど、今後について相談し指示をうけて行動をしてください。

●まとめ

今回は、赤ちゃんや子どものCOIVD-19について解説しました。
赤ちゃんや子どもに感染させないためには、子ども自身の感染対策も重要ですが大人が感染しないようにすることも重要です。変異株が出てきたとしても感染対策の基本は変わりませんので、今一度感染対策をおさらいしましょう。

呼吸器内科医 扇谷知宏

呼吸器内科医呼吸器内科医

監修/扇谷知宏

所属/日本内科学会 日本呼吸器学会