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新型コロナウイルスの予防についておさらい予防の基本を解説します

世界中で猛威を振るっているCOVID-19ですが、我国での流行はまだまだ収束の目処が立っていません。一方でワクチン接種の進んでいるイスラエルなどの国々では、マスクフリーの生活が戻っているとの情報もあります。我国でのワクチン接種が進んで一刻も早く、流行が収束することを願うばかりです。また、流行の収束まで我慢強く感染対策をしていくことが我々国民一人一人に求められると言えるでしょう。

今回はCOVID -19などの感染症にかからないための対策について再度確認し、どのような行動を心がける良いのかを見ていきたいと思います。

●新型コロナウイルスに感染しないための感染対策の基本

まずはCOVID-19にかからないための基本的な対策について見ていきたいと思います。

COVID -19は人から人に感染する感染症です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。最も確実な予防方法は、外に出ずに、他人と接することなく過ごすということになります。世界中で外出禁止令やロックダウンが出ていたのは、このことが理由です。しかし、全く家から出ずに、買い物や仕事にも行かずに生活するのは不可能でしょう。そのため、外出時にCOVID-19を他の人からうつされないための対策が特に必要となってきます。

まず予防の基本となるのが、3密」の回避です。すっかりおなじみの言葉ですがこの「3密」とは密閉・密集・密接の3つを指します。密閉は換気が出来ていない密閉空間、密集は多くの人が集まっていること、密接は人と人が至近距離で存在することを指します。要するに狭い空間でたくさんの人が近くにいる空間を避けるというのが、「3密回避」ということになります。

私たちが日常で遭遇する3密空間としては、通勤の際のバスや電車などが最も多いかと思います。もし可能であれば、徒歩や自家用車などを使用、電車の時間を変えてなるべく満員でない時間に電車に乗るのが望ましいです。そのような対策ができない状況にある人は、マスクの着用と咳エチケットを徹底することで感染リスクを下げることができます。また、つり革や手すり、エレベーターのボタンなど、不特定多数の人が触れる部分を触った後には手指消毒が必要です。家に帰ったときは、流水での手洗いも徹底しましょう。また、手についたウイルスは口や鼻、目を通して侵入してくるのでなるべく外にいる時には顔を触らないようにすることも重要です。

●手洗いとマスク本当に効果はある?

予防効果の基本である、手洗いとマスクの効果について見ていきましょう。

まずは、手洗いについて解説します。手洗いの目的は、手についているウイルスの数を減らすことです。実際にどの位減るのかについては、厚生労働省が発表しています。手や指に付着したウイルスの数は、15秒の流水での手洗いで1/100になります。石鹸やハンドソープを使用して10秒もみ洗いし、その後に流水で15秒すすぐと1万分の1にまで減らすことができます。

また、手洗いに加えてアルコールでの手指消毒も有効です。濃度70%−95%のエタノールを用いての消毒が最も有効です、もし70%以上の濃度のエタノールが手に入らない場合には、60%台のエタノールでの消毒も一定の有効性がありますので利用しましょう。無水エタノールなどの純度が高すぎるエタノールは、揮発するまでの時間が短すぎて有効性が低下します。ドラッグストアなどで売っている蒸留水などで薄めて使用しましょう。エタノールは引火性があるので、部屋の消毒のためにと空間噴霧は絶対にしないようにしてください。

次にマスクについて解説します。流行が発生した当初、ウイルスはマスクの繊維の間を通り抜けられるくらい小さいことから、効果に対して疑問を抱く人も多くいました。しかし現在では、マスクの使用は十分に感染対策に効果的であることが多くの研究で示されています。代表的なものに化学研究所が複数の大学と共同で行った研究があり、マスクをしたときの飛沫の飛び方をスーパーコンピューター「富岳」を用いてシミュレーションしています。その結果、不織布のマスクをしているとマスクをしていない状態と比較して吐き出し飛沫量を80%、吸い込み飛沫量を70%減らすことがわかりました。

マスクの着用の仕方が間違っていると、予防効果が十分に発揮されないことがあります。マスクの正しい着用方を確認しましょう

まず、マスクの表裏について。マスクの裏表はプリーツ(ヒダ)の向きで確認できます。ノーズピース(鼻にあたる針金のような部分)を上にしてプリーツが下向きになっているのが表です。表裏を確認後、マスクを顔に当て顎の下までマスクをのばして耳紐をかけます。着用する時は鼻を出さないように気をつけましょう。しっかりと鼻が覆われていないと、飛沫吸い込み量を抑える効果が激減してしまいます。またノーズピースはしっかりと鼻の形にフィットさせましょう。隙間があるとそこから飛沫が入ります。着用の前にマスクのサイズが合っていない場合も注意が必要です。着用した時に耳紐が緩すぎる場合は十分な効果が得られないことがあります。自分の顔に合ったサイズのマスクを着用しましょう。

●まとめ

コロナウイルスの感染対策の基本について解説しました。基本的には流行が始まった当初から言われている内容をしっかりと行うことが重要です。我々一人一人がしっかりと対策することが収束につながります。しっかりと対策をして乗り越えていきましょう。

呼吸器内科医 扇谷知宏

呼吸器内科医呼吸器内科医

監修/扇谷知宏

所属/日本内科学会 日本呼吸器学会