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新型コロナウイルスの対策の基本  マスクは効果がある?

新型コロナウイルス感染症COVID -19の流行が世界中で長期間続いていて、本邦でも猛威を奮っています。現在第4波が襲来している状況で、緊急事態宣言も発出されています。このような状況の中、少しでも感染のリスクを減らし、自分や家族・友人を感染から守ることがますます重要になっています。

今回はCOVID -19の感染対策の基本をおさらいするとともに、予防の基本であるマスクの効果や、正しい付け方について見ていきます。

●COVID-19の予防をおさらい

まずはCOVID -19の予防の基本を見ていきましょう。COVID-19は感染症なので、感染している人からウイルスが出て、それが他の人の体内に侵入することで次々と感染していきます。このことから最も確実な予防としては、人と接触しないように外に出ずに生活することです。まずは、不要な外出をしないことが重要であると言えます。しかし、すべての人が何日も外出せずに過ごすのは不可能ですので、外出の際に特に気をつける必要があります。

外出の際に気をつけるべきことは、
➀「3密」の回避 ➁手指消毒の徹底 ➂マスクの着用が挙げられます。

「3密」の回避は、3密とは感染症が伝染しやすい状況である密閉(換気の悪い密閉空間)、密集(多くの人が集まった密集空間、密接(人と人との距離が近い状況)のことをさします。要するに、換気のできていない人の多い密閉空間をさけるということです。簡単な目安として、他の人と可能であれば2mの距離をとるように行動するのが良いという考え方(social distance)があります。

手指消毒の徹底も重要です。多くの人が触るような場所(電車のつり革やエレベーターのボタン、階段の手すりなど)には、その分ウイルスが付着している可能性があります。そのようなところを触った後には、アルコールなどで消毒をするようにしましょう。またやってしまいがちなのが、消毒をしていない手で顔を触ってしまうことです。ウイルスは口や鼻の他に目からも侵入します。基本的には外では出来る限り顔を触らないようにすることが大切です。初めは無意識に触ってしまいますが、日頃から意識することで習慣づけられます。しっかりと意識することが必要です。

●マスクは効果がある?

COVID -19が海外で流行した頃には、マスクなんてしてもあまり効果がないのではないか?という人も多くいて、マスクの有効性については議論が分かれていました。しかし、様々な研究がなされてマスクの有効性は証明されつつあります。最も権威のある医学論文誌の一つである、Lancetに2020年6月27日に掲載された論文があります。16か国で行われた172の観察研究を集めて統計をとるメタアナリシスという解析を行った研究では、以下のようなことがわかっています。

1m以上の距離を取っていると、

  • ・1m以下の距離しかない場合より明らかにウイルスの伝播が少ないこと
  • ・フェイスマスクを使用しているとしていないのと比較して感染の可能性が明らかに低下すること
  • ・1m以下の距離しかない場合より明らかにウイルスの伝播が少ないこと
  • ・目の保護が感染の減少に関連すること。とくにマスクに関しては2647人を調査してオッズ比(起こる確率と起こらない確率が同じときにオッズの値は1となり、1よりも大きいと事象が起こりやすい、小さいと起こりにくいことを表します。)が0.15と高い予防効果が示されています。

また、理化学研究所が複数の大学と共同で行った研究があり、マスクをしたときの飛沫の飛び方をスーパーコンピューター「富岳」を用いてシミュレーションしています。その結果、不織布のマスクをしているとマスクをしていない状態と比較して吐き出し飛沫量を80%、吸い込み飛沫量を70%減らすことがわかりました。

これらの研究の結果から、明らかにマスクは感染症の対策に有効であることがわかります。
外出の際はマスクを着用するようにしましょう。

●意外と知らない?マスクの付け方

マスクをせっかく着用しても、着用の仕方が間違っていると予防効果が十分に発揮されないことがあります。ここでは、マスクの正しい着用の仕方を解説していきます。

マスクの付け方の間違いとして多いものとして、まずマスクの表裏の間違いがあります。表裏の見分けかたは、マスクのプリーツ(ヒダ)を見ます。ノーズピース(鼻にあたる部分)を上にしたときに、プリーツが下向きになっている方が表(自分から見て外側)になります。

表裏を確認したらマスクを顔に当てて、顎の下まで覆うようにマスクのプリーツを伸ばして耳紐をかけて着用します。この時に鼻が出た状態でつけていると、吸い込む飛沫の量を減らす効果が大きく低下するので注意してください。またノーズピースはしっかりと鼻の形にフィットさせましょう。

着用の前にマスクのサイズが合っていない場合も注意が必要です。着用した時に耳紐が緩すぎる場合は十分な効果が得られないことがあります。自分の顔に合ったサイズのマスクを着用しましょう。

●まとめ

COVID-19の感染対策とマスクの着用について解説しました。COVIDー19の猛威から解放されるまではまだしばらく時間がかかると思われます。
しっかりとした感染対策をしてこのパンデミックを乗り切りましょう。

呼吸器内科医 扇谷知宏

呼吸器内科医呼吸器内科医

監修/扇谷知宏

所属/日本内科学会 日本呼吸器学会