新型コロナウイルスの感染者数は、落ち着いたと思えばまた増加を繰り返している状況です。特に今回の感染者数の増加には、変異ウイルスであるデルタ株が関係していると思われます。このデルタ株は、感染力が強くなっているという報告も多数あります。ただし、変異株と言っても感染経路や感染対策、感染したときの症状が大きく変わるものではありません。
今回はCOVID-19の対策について、感染経路の観点から再度見直して行きましょう。
COVID-19という病気はウイルス感染症であり、SARS-CoV2というウイルスが原因となっています。ウイルス感染症は、体の中に原因となるウイルスが侵入することで引き起こされるのですが、それにはいくつかの侵入経路があります。どのような侵入経路があるのかを見ていきましょう
COVID-19の原因ウイルスであるSARS―CoV2の主な感染経路として考えられているのは飛沫感染です。また、接触感染でも感染します。
まずは、飛沫感染から見ていきましょう。人が会話や咳・くしゃみをしたときに、細かいしぶき(これを飛沫と呼びます)が飛散します。COVID-19にかかった人から出る飛沫には、SARS-CoV2が含まれており、人の目・鼻・口などの粘膜に入り、体の中に侵入することで感染が成立します。飛沫は1~2m程度の距離を飛散すると言われており、感染している人と近い距離で会話をしている場合は飛沫感染の危険性があります。
また換気のできていない密閉空間では、小さい飛沫が長い距離を漂い、感染を引き起こす「マイクロ飛沫感染」が起こる可能性を指摘されています。
次に、接触感染について解説します。接触感染とは、ウイルスが付着したものに手などが触れて、その手で目・鼻・口などの粘膜を触ることで付着していたウイルスが体内に侵入して感染することです。WHOが発表した情報によると、プラスチックの表面に付着したSARS-CoV2は、プラスチックの表面で最大72時間、段ボールの表面では最大24時間生存するとされています。感染者と直接接することがなくても、感染の危険があるということは知っておく必要があるでしょう。
まず飛沫感染の対策についてですが、まずマスクの着用を徹底しましょう。マスクの着用については、感染者が飛沫を飛ばさないという効果があります。自分の感染は防げないという認識を示す方もいらっしゃいますが、不織布マスクを着用していることで吸い込み飛沫量も大きく減らすことができるという実験結果が出ています。自分に感染する可能性を下げることにも、一定の効果を上げると考えられるでしょう。
また、密閉・密集・密接の「3密」を防ぐことも感染予防において重要です。密とされている状況が3つ全て揃わなくても、どれか1つの密が存在するだけで感染の確率が上がってしまいます。そのため自分のいる環境は、感染リスクが上がるような状況ではないかを考える習慣をつけましょう。
次に、接触感染の対策について解説していきます。接触感染の基本は、こまめな消毒です。そのため、アルコールによる手指の消毒をこまめに行いましょう。特に、無意識に顔を触ってしまう癖がある人は注意が必要です。万が一ウイルスが手についている場合には、そのウイルスから感染する危険性があります。意識的に顔を触らないようにし、顔を触る必要があるような時には手指の消毒を行う習慣を心がけることが重要です。
外出から自宅に帰った時は、外からウイルスを持ち込んでしまい、それが家の中の物についてしまうと接触感染の原因となる危険があります。帰ったらまず、マスクを外して家の中のものに触れる前に手洗いや消毒を行いましょう。家の中で人がよく触るようなドアノブや取手、テーブルなどはアルコールなどを用いてこまめに消毒するとなお良いです。
コロナウイルス感染の症状が自分自身に出たり、身近な人が感染したことで濃厚接触者である可能性があることが分かった場合は、まず外出を控え、人と接触しないようにしましょう。その上でかかりつけの医療機関、もしくは地域の身近な医療機関に電話で相談してください。近くの医療機関などがわからない場合には、自治体が設置している相談センターに連絡しましょう。自己判断で行動はせずに、まずは相談窓口に連絡して適切な指示を受けてください。前もって連絡をせずに直接医療機関にかかると、待ち時間が長くなったり、他の人にうつすリスクが上がりますので注意が必要です。
今回はCOVID-19の感染経路と、その対策について解説しました。変異株が出てきても基本的な感染対策には変わりはありません。基本的な感染対策を徹底して、パンデミックを乗り越えましょう。