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PCR検査・抗体検査・抗原検査について解説します。

 新型コロナウイルスを検出する方法 PCR検査・抗体検査・抗原検査について解説します。

新型コロナウイルスを検出する方法 PCR検査・抗体検査・抗原検査について解説します。

 

新型コロナウイルスで陽性になった。ニュースでこのような言葉を耳にするようになって久しいですが、この「陽性」というのはどんな検査で何を検出しているのか?よくわかっていない方も多いかもしれません。今回は新型コロナウイルスの感染者はどのような検査で発見されているのかを解説していきたいと思います。

新型コロナウイルスの検査①PCR検査で検出する方法

新型コロナウイルスの検査で最も有名であろう、PCR検査。
新型コロナウイルスの流行でにわかに耳にする機会が増えたかと思います。PCRとはPCRはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)という言葉を略したものです。
この検査ではウイルスそのものでは無く、ウイルスの中に存在するDNAを検出しています。
ウイルスや生物の細胞の中にはDNAという物質が存在し、そのウイルスや生物の設計図のような役割をしています。
当然ウイルスの種類によってDNAは異なるので、新型コロナウイルスに特有なDNAを検出することができれば新型コロナウイルスを発見することができます。

PCR検査ではまず、被験者から検体(鼻腔咽頭ぬぐい液、喀痰、唾液)を採取します。その検体に対して、検出したいDNAを倍に増やすことのできる増幅操作を繰り返し行います。増幅操作1サイクル行ったとき、ターゲットとするDNAが存在すればそのDNA量は2倍になり、更に2倍、2倍と増幅していきます。
1サイクルは数分で完了するので短時間のうちに大量のDNAを複製できます。そうして目標のDNAが検体に存在すれば、そのDNAを増幅して検出することでウイルスの存在を判定できるのです。

コロナウイルスの正確性について様々な報告がありますが、感度(本当に感染している人に対して検査を行ったときに陽性と判定が出る割合)は70%程度、特異度(感染していない人に正しく陰性と判定が出る割合)は99-99.9%と報告されています。
この数字を見ると、偽陰性(本当はウイルスに感染しているのに、陰性と出ること)に注意が必要なことがわかると思います。
要するに陰性と出たからと言って絶対にかかっていないとは断言できないということです。
今の所最も正確に診断できるPCRですが、感度にはまだ限界が有るということを忘れてはならないと思います。
病気の診断というのは検査一つではなく、他の検査を併用して実施したり、症状や病歴などを総合して判断しなければなりません。
医師の話をしっかり聞いて検査を受けるかどうか、検査結果をどう解釈するか相談する必要があります。

新型コロナウイルスの検査②抗体検査で検出する方法

PCRと並んでよく利用される検査である、抗体検査。PCR検査とどのように違うのか見ていきましょう。

抗体検査とはその名の通り、新型コロナウイルスに対する抗体を持っているかどうかを調べる検査です。
抗体とはウイルスなどが体の中に侵入してきたときに免疫反応によって生産されるタンパク質で、ウイルスなどを無毒化して排除するのに役立ちます。要するに、外部からの侵入者に対して体の免疫反応で作られる武器のようなものと考えると良いでしょう。

検査では数滴の血液を採取してそれを検査キットにかけることで行います。結果15分程度で判明します。

抗体には5つの種類がありますが、検査で検出する抗体はIgMとIgGの2つです。
IgMはウイルスが侵入して早期に作られる抗体で、発症から1週間ほどで量が増えて検査で陽性になり、IgGは発症してから3-4週間程度経って陽性となります。

抗体検査の結果の解釈としては、IgM、IgGともに陰性であれば感染したことがない、IgMのみ陽性、またはIgGもIgMも陽性のときは発症早期(概ね2週間以内と考えます)、IgGのみ陽性のときは発症してから時間が経過した状態だとわかります。

PCR検査と異なり、ウイルス自体の存在を調べる検査ではありません。体が侵入してきたウイルスに対して反応したことがあるかどうかを調べる検査なので、現在感染しているかは詳細にはわかりません。
発症早期だとまだ抗体が増えていないため、陰性になることもあります。
抗体検査は過去に新型コロナウイルスに感染していたかどうかを調べる検査となります。

検査の対象となる方は、いままで特に症状はなく、ずっと元気だったが、過去に新型コロナウイルスにかかったことが有るか心配な人や、風邪の症状が以前あったが、それが新型コロナではなかったかどうか心配な人のような、過去に感染したかを調べたい方になります。

現在発熱や呼吸器症状など症状があり、新型コロナウイルスにかかっているかもしれないという方はPCR検査を受けたほうがよいでしょう。

新型コロナウイルスの検査③抗原検査で検出する方法

最後に解説する検査は抗原検査です。
この抗原検査はウイルス自体を検出する検査です。
PCRがウイルスに特有なDNAを増幅させて検出するのに対して、こちらはウイルスに感染した細胞に特徴的なタンパク質を検出します。この検査ではウイルス自体を検出するので、現在かかっているのかどうか調べることができます。検体は鼻咽頭を綿棒で拭って採取します。その検体を検査キットにかけて30分程度で結果を出すことが可能です。PCRと異なり、目標のタンパク質を増幅させることができません。そのため、体内に一定以上のウイルスがいないと検出することができず、精度がPCRに劣るので注意が必要です。

まとめ

新型コロナウイルスについての検査を紹介していきました。一言に新型コロナウイルスの検査と言っても特徴がありどの検査を行うべきか、どのように結果を解釈するべきかなど検討することは多いので医師に相談の上適切な検査を受けましょう。